ツール・ド・フランスへまっしぐら

このコーナーは僕の趣味の一つでもある自転車競技観戦、とりわけ大好きなツール・ド・フランス(以後TDF)についての説明ページです。
※掲載内容は2003年6月のお話に公開した物を2004年6月に改訂して掲載しています。

TDFとはなんぞや?
フランス語で" le Tour France "と書きますが、日本では" TOUR DE FRANCE (ツール・ド・フランス)"という名でお馴染みですね。
現在は7月にフジTVでシーズン2回の総集編とスカパー!のJ-SPORTS3chで衛星生中継されています。

TDFは世界で最も格式と伝統のある自転車競技で約20日かけてフランス全土を一周する世紀をまたいだレースです。ちなみに、1903年から開催されていて今年で101年目という伝統と格式あるイベントでもあります。

レースの内容はアルプス・ピレネー山脈を越える山岳ステージと、フランスの伝統的な市街地(レンガ道)や平地のコースで行われるスプリントステージなどバラエティに富んでいて全長3000〜4000Kmのロードを疾走します。
参加する者にはまさに過酷という言葉がピッタリ合います。

さらにこのTDFに出場している選手は、世界トップクラスの実力をもった人たちで、生半可な実力やぽっと出の選手では、出場さえ出来ないということです。
というわけで、日本人では96年にただ一人だけ出場した事があります(出れただけでもすごい事件でニュースでもっと騒いでおくれよ!)。結果としては途中棄権でしたが、日本人の自転車競技界の第一人者をもってしもて完走をもなし得ないのです。そのくらい厳しく過酷なレースなんですね。

ちなみに。僕は93年のインデュラインという選手の山岳ステージの鬼のスパートをTVで見てハマってしまいました。

ルールってどんな感じ?
まぁルールと言っても、こまかいルールは僕も知らないのでおおまかに書くと、一番最初にゴールした人が勝ちです。<ぉひ
ただ、落車による事故を防ぐため、単独ゴール以外は同タイムゴールとみなされて、着順のみが結果に反映されます。

TDFはステージレースと言われるステージごとの成績と全日程の総合成績を競うレースになります。スタート方式は各ステージにより異なりますが、ほとんどは一斉スタートでモータースポーツで言うヒート形式でタイムと総合成績を算出します。

ステージごとのレースはこんな感じ。
通常のステージ・・・一斉スタートでゴールまでを競うレース(1ステージ200〜300km)
個人TTステージ・・・個人タイムアタックのレース。3分おきに総合成績の悪い人からスタートする。
チームTTステージ・・・チームごとにタイムトライアルを行う。チーム上位6人までのタイムをチーム全員の結果として扱う。

自転車競技は大きく分けて二つに分ける事ができて・・・。
ステージレース・・・TDF、ジロ・デ・イタリア、ヴェルタ・エスパーニャ
ワンデーレース・・・世界選手権、ツール・ド・フランドル、ツール・ド・ロンバルディア
みたいになってます。
ステージレースの3つは世界でも格式が高くて3つをまとめてグランツールと言い、ワンデーレースの世界選手権とクラシックと言われる5つのビッグイベントがあります。

ほいではTDFだけのローカルルールのお話です。TDFに特別なジャージがあってみんなこれを着たいからがんばってます。
自転車競技の面白いところは、通常は自分のチームのジャージを着ますが、各国のチャンピオンはそれぞれの国のカラーをしたジャージを着て出場します。(世界チャンピオンはなんと虹色!まぁ五輪カラーですな。)

そして、TDFには、栄誉ある特別な3枚のジャージがあります。
総合成績がトップの選手 ・・・黄色のジャージ(マイヨジョーヌ)
山岳ポイントがトップの選手 ・・・ 白地に赤い水玉模様のジャージ(マイヨブランアポアルージュ)
スプリントポイントとゴールポイントがトップの選手 ・・・ 緑のジャージ(マイヨベール)

最近ではもう一枚追加されて。新人王に最も総合成績が優れている選手には白いジャージ(マイヨ・ブラン)が与えられています。

このジャージの色には実はちゃんと理由があって、それぞれスポンサーカラーがジャージの色になっています。
性格にはジャージの色に合わせてスポンサーがついています。苦笑
ちなみに、マイヨ・ジョーヌだけは由来があって、元々レースを主催していた新聞社”ロト”の企業カラーが由来となっていて、現在のスポンサーも”クレディ・リヨネ”がその色を継承しています。
はたして、スポンサーの色が先か?企業カラーが先か?と悩んでしまいます。

この他に、ドサール・ルージュという赤字に白文字のゼッケンがありまして、これは主催者とジャーナリストが結果とは無関係に決める”敢闘賞”があります。

※総合成績は、総合タイムが一番少ない選手がトップ。
※山岳ポイントは、山岳コースに設けてあるポイント地点を、先に通過した順番によってポイントがあたえられる。山岳のランクに寄ってポイントが違います。
※中間スプリントポイントは、通過上位3人に6・4・2点とポイントがあたえられる。
※ゴールポイントは、ゴール上位25人にポイントがあたえられる。

前年に、総合成績トップの選手は、次の年に行われるツールの開幕レースに
マイヨジョーヌを着て走ることが許されています。

TDFのルールっていうか勝者の決定方法はこんな感じです。どうです?わかりやすいでしょ?

有力選手は?
TDFは、実は自転車競技でも特殊なレースです。
ずば抜けた知名度、宣伝効果があるためにこのレースに出るためだけに年間のレース参加を調整している選手もいます。
逆に、全部のレースの中のひとつという位置付けの選手もいて、TDFでは大活躍だけど、他のレースには出ない選手や、TDFでは名前は出るけど結果の出ない選手など様々です。

ランス・アームストロング
言わずと知れた今年、前人未到の6連覇のかかる最有力候補の選手です。
ガンを克服して上り詰めた精神力には、尊敬してもしきれないほどの魅力とカリスマを持った選手です。
今シーズンは新鋭選手の後塵を拝す事があるようですが、このレースに全てをかけているだけにまだまだ最有力候補である事は間違いありません。
彼の生き方はあまりにドラマチックで、そして完璧です。

ヤン・ウルリッヒ
ランスに対抗できる唯一無二のドイツの星です。
ここ数年、スキャンダルや怪我でまともに勝負する事さえままならず、苦悩のシーズンを過ごしていましたが、昨年は見事に復活を果たしました。
やはり、ランスに対抗するのであれば彼しかない!と思わせるすばらしい選手です。
今年はチームも古巣に戻って万全の体制を整えた模様。

テイラー・ハミルトン
ランスの元チームメイトでしたが、ランスと勝負するために他のチームへ飛び出した選手です。
恐らく、そのままチームメイトであればランスの大いなる力となる事は間違いなかったでしょう。
しかし、そこを飛び出した彼の勇気、そしてスピリットに多くのファンが魅了されています。
昨年は鎖骨骨折を押しのけて大活躍をして、私NAOHIKO、実は感動してしまいました。

イヴァン・マヨ
新鋭・スペインバスクの新星で期待の若手です。
その桁はずれた山岳センス、カリスマ的なパフォーマンスには将来を予感させますし、何より強い。
今年は前哨戦のレースでランスを圧倒して周囲の度肝を抜いていますので、もしかしたらもしかするかも。
オレンジのジャージに注目です。

ロベルト・エラス
こちらもランスの元チームメイトでしたが、ランスと勝負するために他のチームへ飛び出した選手です。
絶大なるエースは絶大なる選手を育てるのでしょうか。
ランスの最大最強のアシストだったのですが、ついにその実力を自分自身にという感じです。
といっても、ランスのいない他のレースではむちゃくちゃつよい選手である事は特筆させていただきましょう。

アレッサンドロ・ペタッキ
脅威のスプリンターで年々実力を発揮してきている選手です。
今年はジロ・デ・イタリアですでに勝ちまくっていてTDFでも活躍が大いに期待されます。
ただ、難点は最後まで走ってくれないことで、途中のスプリントステージで勝ちまくって、早々にリタイヤしちゃいます。
今年は最後まで走って、スプリント賞を獲得している彼を見てみたい。

その他の有力選手
オスカー・セビーリャ
ジルベルト・シモーニ
アイトール・ゴンザレス
パオロ・ベッティーニ
サンチャゴ・ボテロ
バーデン・クック
ロビー・マキュエン

有力チームは?
ここ数年、世界的不況で毎年のように有名チームが様変わりしています。
スポンサーに不安のないチームがない状況なので、このチーム名も来年はここにないのかも。ちょっと悲しい。

USポスタルサービス
言わずと知れたランスのチームです。
優れたチーム戦術と確立されたエースの存在で圧倒的なチームワークを見せています。
近年、ランスに見劣りしたチームワークも完全に熟成されていて、はっきり言えば非の打ち所がない。

T-モバイル
ウルリッヒ率いるドイツチームです。
近年、ドイツ人色は薄くなってしまいましたが、ピンクのジャージの軍団は今年も健在か。
チームプレーに若干不安があるものの、個々の能力はおそらく最強といっても過言ではないでしょう。

エウスカルテル
マヨが所属しているチームです。
チーム全員がスペインのバスク地方出身者で、ピレネーの山岳ステージではものすごい熱狂と応援で迎えられます。
チーム力は高くないのですが、多くの有力選手を輩出しているチームです。

ファッサ・ボルトロ
ペタッキのいるこのチームは日本人のトレーナーがいるチームでもあります。
さて、ペタッキをサポートして今年も前半で燃え尽きないかちょっと不安です。
ただし、ここ数年物凄く勢いのあるチームなので楽しみではあります。

リバティー・セグロス
名将・サイス監督が率いていた旧オンセチームが母体のスペインチームです。
今年はUSPSのエラスを迎えてけっこう狙えるんじゃないかと僕は思っています。
チームプレーならおそらく絶対最強のチームである事は間違いありません。

その他のチーム
コフィディス、FDJ、AG2R、ラ・ブーランジェール、クレディアグリコル、RAGT
アレッシオ、、サエコ、ドミナ・ヴァカンツェ、バレアレス・バネスト、ゲロルシュタイナー
ロット、CSC、ラボバンク、フォナック

用語と質問
なんで自転車競技は抜きつ抜かれつで同じ人が何度も入れ違いになって走るの?

自転車競技は平均時速は50キロを超えて200〜300キロを走りきります。そうすると独りで走り続けるとそれだけ空気抵抗を浴びることになるのですが、隊列を組んで走ると後ろの人は空気抵抗が少なくてすみます。
よって同じチーム同士で順番に入れ替わって走ってみんなで空気抵抗をわかちあうわけですね。この時の空気抵抗をドラフティングと呼んでいます。

最初に飛び出した人が簡単にみんなに負い付かれちゃうのはどうして?

さきほどのドラフティング対策は、疲労の軽減とその集団のスピード維持にも役立ちます。よって一人でスパートする事で空気抵抗を一人でシェアし続けて集団から逃れるのは至難のワザなのです。
モータースポーツで言うと、みんなでスリップストリームを利用し合ってるイメージですね。こりゃ速い!

飛び出した人をライバルチームの人が一人で捕まえに行ってスローダウンさせちゃいましたけど、なぜ?

さっきのドラフティングの理論を逆手に取ってる戦略です。
つまりドラフティング対策の集団の先頭に立った人が意図的にペースを落として集団に関与することでその集団のペースを支配することができるのです。
例えて言うと、一人出歩くと速いけど友達と話しながらとか、腕組んで歩いてる人は遅いでしょ?

レース中に食事していいの?

はい。食事はしてもOKです。
200〜300キロともなると普通には走れません。もしもそんなことをしたら急激な脱水症状と筋肉疲労で命に関わります。ましてはグランツールは3週間にも及ぶ長丁場です。
そんなわけで、選手のジャージの背中部分にはパンやペットボトル、帽子などが入っています。

じゃぁトイレは?

その場でズボンをめくってやっちゃいます。というわけで、ツールの峠には『なんとかに虹』なんていう言葉もあったりします。ちょっときたないっす。<TT
ちなみにオッキイのは降りてするとかしないとか。<苦笑

プロトンてなに?

プロトンとはエースと言われるそのチームを代表する選手達がいる集団のことを言います。通常は、ドラフティングの集団というのは一つのチームで構成するのではなく、勝つことを望まれた人たちのいる複数のチームで構成されます。このプロトンはお互いに実力を認め合った人たちが作り出す共同体です。エースと呼ばれる各チームの代表がこのプロトンのペースを握るための駆け引きを繰り広げています。
見た目以上にこの駆け引きは頭脳的でテレビで見ていて面白い部分であります。
これで時速50キロキープして走り倒してる彼らは超人ですね。

エース?ってなに?

エースというのはそのチームで主導権を握る人々です。このレベルになると選手の実力が拮抗しているので、個人の実力ではどうにもならないので、チームの協力は不可欠なのです。そんなわけでエースを支えるアシストという働きアリのような選手がいて、エースのドラフティングをシェアしたり、ペットボトルや食料補給を手伝ったり、エースの指示の元に前方の集団をつぶしたり、プロトンのペースを支配する道具として活躍します。
また緊急のマシントラブルの時には自分のマシンを引き渡すことさえあります。
ですが、レースの状況によってはエースの代わりにアシストがエースに昇格してレースを継続することもあります。
ちなみに、ツールを4連覇しているランス・アームストロングのいるUSP(ユーエスポスタルサービスの略)には昨年はエラス、ベルトラン、ルビエラ、エキモフ、ペーニャ、ヒンカピーと言う強力なアシスト陣が彼を支えています。個々の選手が他のチームでもエースになれちゃうような人たちですから、そりゃぁもう最強です。(ちょっと前はエラス・ルビエラ・ヒンカピーで三種の神器とか言ってたけど、TDFではもう手がつけられないでしょう。っつ〜かその前はランスの両翼とか言われてたよ。むむむっ。)

集団から抜け出して勝てるの?

勝てます。でも、さっきも書いたとおり実力が拮抗しているので難しいです。
一番単純な戦略はアシストを二つに分けます。まずはプロトンのペースを支配してスローダウンさせるチーム。そしてエースを集団から引き離してゴールまで連れてゆくチーム。こうして集団はペースを落とされ、エースのみがその集団からぶっちぎるわけですね。そしてアシストはゴール目前でドラフティングをシェアしきって後方集団に吸収されていきます。ここでエースはアシストに温存された体力を爆発させてゴールを駆け抜けるわけです。
これが一番楽しめるのは山岳ステージですね。エースの真価が問われます。

山の頂上で客から新聞をもらうのは?

はい。山岳ステージと言うのは数千メートル級の峠越えになるので気温差も激しいのはさることながら、選手の出した汗による体温変化も大きいのです。
よって上りきった時の体温を下る時は急激に冷やすことになるので体力を削り取ることになりますので、それをふせぐための新聞紙なのです。ルール上においても観客からは何を受け取ってもOKです。
ただし、ドリンクとかは何が入ってるかわからないのでもらってる人はいないみたいです。

選手は普段は何をしてるの?

自転車レースをしています。
彼らはプロライダーなので普段からレースに出て賞金を稼いで暮らしています。
欧米ではサッカーに継ぐ庶民スポーツで一般的で、彼らの社会的地位についても保証されています。グレッグ・レモンという選手は全盛期には年収15億という高収入だったそうです。(F1は金持ちのスポーツだし、野球なんて日米韓とアジアの国々で盛り上がってるだけっす。)

日本人選手はいないの?

自転車競技という意味では存在します。
中野浩一選手が有名ですが、彼はアルカンシェル(世界選手権の覇者に渡される虹色のジャージ)を10枚持っている世界で唯一の選手です。おそらく彼が海外に行けば神様です。
※日本ではただのカツラチャリ親父ですがね。
その他にも日本人選手はワンデーレースのトラック競技(ケイリン)というレースでは世界有数の実力と収入を得ています。
ステージレースでは全然ダメですけどね。
この理由は日本の競輪の普及が大きく影響しています。人間、目先の名誉と金のためならどんなにでも強くなれるのです。

日本チームは無いの?

あります。正確にはありました。
かつては東芝、パナソニックなど日本有数の企業がチームを作って外人を雇い走らせていました。しかし、日本での知名度の低さから現在ではその面影はなくなっています。
ですが、日本の自転車メーカーの技術は世界有数で現在でも主要なチームへマシン・部品を提供してその名を知らしめています。

どうです?だんだん興味わいてきましたか?

TDFって誰が思いついたの?
TDFははっきり言えばオリンピックみたいに『平和』とかそういうのを目的に開催されていません。
フランスの新聞社ロト・ヴェロの出版者アンリ・デグランジュが自社の新聞の売上を伸ばすために企画したのがその発祥です。
よって、現在に至ってもその経済的な色は思い切り強くて、TDFが開催される各地方都市ではレースの直前に大規模なデモンストレーションと広報活動が行われています。(どこかのチームのスポンサー菓子メーカーがイベントでお菓子をばら撒きまくったとかね。)
まぁ個人的には『平和のための戦争』を容認し、裏金と疑惑、そして政治的な駆け引きの道具となりつつあるイベントに比べれば、経済を最優先した上ではあるけど選手の真剣な戦いが成り立っているスポーツが見られれば僕はそれでいいと思います。というか、理由はどうあれ100年も続いているイベントをどうやって否定できますか!?
注)オリンピックは大好きですよ。

話がそれましたが、ところで、なんでデグランジュがTDFを思いついたのでしょうか?
当時の自転車競技パリ・ボルドーの開催される時期に新聞発行部数が伸びるという事に気がついたのです。というのも、このバカげた距離を走る続ける超人的なスポーツに読者の興味が駆り立てられていたのと同時に、当時のメディア情報としては新聞しかなく、また競技の特性上、すべての行程を観戦するのが困難だったことが予想できます。

この時、1902年の11月。
パリ、モンマントルでデグランジュは同僚と昼食中だった。
アイディアが浮かんでから上司を説得するのには時間はかからなかった。

1903年6月、記念すべき第一回TDFは困難にぶつかっていた。なんと開催三週間前にもかかわらず選手は15人しかエントリーされていなかったのだ。
そこで彼は賞金をつりあげた。<笑
1903年7月1日TDFの当日、デグランジュの思惑通りに栄光のスタートリストには60人が名を連ねる事ができた。
ついにパリ郊外のモンジュロンから栄光のツール・ド・フランスが幕を開けるのだった。

ひたすらゴールを目指して。ただマイヨ・ジョーヌのために。




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